JSAI2023参加報告
はじめに
JSAI2023 – 2023年度 人工知能学会全国大会(第37回)に参加してきました。
本記事ではJSAI2023の概要と印象に残った講演、オフライン学会@熊本の感想を書きます。
JSAI2023の概要
- 開催日時:2023/06/06–2023/06/09
- 発表数:954件*1
- 国際セッション:44件
- 一般セッション:643件
- オーガナイズドセッション:267件
- 並列セッション数:20
ほぼ毎日9:00から19:00まで行われていました。 ChatGPTなどの大規模言語モデルが注目を集めてから初のJSAIであり、メディアからの注目度も高かったようです。
現地参加者も多く、開催期間中に知り合った方の中で初参加の方も多かったと感じます。
参加セッション
以下のセッションに参加。 並列セッションが20あり、聞きたい講演が被っている場合には現地+オンラインで同時視聴していました。
06/06
- [1A1-PS-1] 機械に知能を与えるということはどういうことなのか?(津本 周作)
- [1E3-GS-6] 言語メディア処理
- [1E4-GS-6] 言語メディア処理
- [1E5-GS-6] 言語メディア処理
06/07
- [2M1-GS-10] AI応用:産業
- [2A2-PS-2-01] 中央銀行や金融業での人工知能,機械学習の活用
- [2E4-GS-6] 言語メディア処理
- [2E5-GS-6] 言語メディア処理
- [2E6-GS-6] 言語メディア処理
06/08
- [3M1-GS-10] AI応用:テキスト・行動データの解析・生成
- [3A2-PS-3] 理化学研究所革新知能統合研究センターの取り組み(杉山 将)
- [3Xin4] ポスターセッション1
- [3B5-TS-5] 基盤モデルの技術と展望(岩澤 有祐)
06/09
- [4Xin1] ポスターセッション2
- [4B2-TS-4] 拡散モデルによる画像生成の基礎と最新研究動向(石井 雅人,早川 顕生)
- [4E3-GS-2] 機械学習:時系列解析Ⅱ
- [4H3-OS-6b] 言語とコミュニケーションの創発 ~記号創発システムから共創的言語進化まで~
- [4I3-OS-1b] AutoML(自動機械学習)
講演紹介
印象に残った発表をいくつか紹介。 現時点でプロシーディングスは公開されていないので詳細には触れません(後日公開される要旨から確認できるはず)。
[2E5-GS-6-05] 人工演繹推論コーパスによる学習は言語モデルをどのように強化するか?
著者:〇森下 皓文1、森尾 学1、山口 篤季1、十河 泰弘1 (1. 日立製作所 研究開発グループ)
論理推論を言語モデルに実現させる研究プロジェクトの一環*2。 テーマもだが、発表時の口調が基本常体、時々形態、という独特な話し方で印象的だった。 コードはGitHub - hitachi-nlp/FLDに公開予定(6/11時点では未公開)。
[2E5-GS-6-03] 二つの時系列データの動向を記述する自然言語文生成
〇中野 由加子1、小林 一郎1 (1. お茶の水女子大学)
2つの時系列の数値データの関係や動向に関する説明文を自動生成する手法を提案した研究。 複数の時系列データの傾向をまとめた文を自動生成できれば、色々な分野で役立ちそうだと感じた。 (例えば、製造プロセスで現場の人なら経験からわかるけど説明ができないような状況を、自然言語で表せるようになる?) 実用に向けてどのようなデータを作成すればいいのか、設計する部分が難しそう。
[2E5-GS-6-02] Prompting pre-trained Large Language Models for formality-controlled En-Ja Translation
著者:〇Pin Chen Wang1, Edison Marrese-Taylor1,2, Yutaka Matsuo1 (1. University of Tokyo, 2. AIST)
英日翻訳において、日本語の形式(敬語)を制御する手法を提案した研究。 英語発表でしたが、日本語発表の他の発表と比べても、発表(話し方、スライド)がわかりやすかった。
[4I3-OS-1b-03] ドメイン知識を考慮した特徴量構築の言語モデルによる自動化
著者:〇広瀬 陽一1、白川 真一1 (1. 横浜国立大学)
言語モデルを使って、メタ情報を表す自然言語分から特徴量を生成する方法を提案した研究。 自分には無い観点からの研究だった。 ある種のドメイン知識の言語化で、データセットの作り方や言語化の方法など、今後の発展が気になる。
[4Xin1-51] 化学工学関連論文中の命名法と数式に基づく変数定義予測手法
著者:〇加藤 祥太1、加納 学1 (1.京都大学)
私の発表。宣伝です。ポスターへのリンク
製造プロセスの物理モデルを文献から自動で構築するシステムの開発を目指しています。 その一環として文献から変数の情報を正確に抽出する手法を発表しました。 90分のポスター発表のところ、+90分延長で喋ってました。 来ていただいた方、ありがとうございます。
その他
オンラインで知り合った人と現地でお会いしたり、繋がりを広げたりするために、毎日違う方とご飯に行きました。 熊本はご飯もお酒も美味しく、懇親が捗りました。 馬刺し、あか牛、郷土料理(からしれんこん、一文字ぐるぐるなど)、熊本ラーメンなど、最高でした。
感想
JSAIは様々な分野の方が一堂に会するので、色々な人と交流できるのが良いですね。
また、現地開催の学会は、オンラインよりも没入度が高い、意図していない出会いがあるなど、現地ならではの良さがあると改めて実感しました
自身のポスター発表では暇な時間ができないか少し心配でしたが、杞憂に終わり嬉しい限りです。
今後も関連分野を盛り上げていけるように精進しますので、よろしくお願いします!!